
管楽器リペアマン育成がなぜ今必要なのか、
現場で起きている課題とその背景
管楽器を「直せる人」は、確実に減っている
学校現場で起きているケース
例えば、学校の吹奏楽部では次のような声が聞かれます。
- 楽器に不具合が出ても、すぐに相談できる修理先が見つからない
- 定期点検をお願いしていた修理者が高齢で引退してしまった
- 修理に出すと戻ってくるまでに時間がかかり、本番に間に合わない
顧問の先生は音楽の専門家であっても、楽器修理の専門家ではありません。
そのため、
「これは調整で済むのか」
「今すぐ修理が必要なのか」
という判断自体が難しく、結果として楽器が使えないままになってしまうこともあります。


楽器店・販売現場での課題
楽器店の現場でも、同じような問題が起きています。
- 修理相談が増えているが、店内で判断できるスタッフがいない
- 外注修理に出すと、対応までに時間がかかる
- 軽微な調整でも「修理扱い」になり、対応が後回しになる
本来であれば、その場で
「これは簡単な調整で直ります」
「この状態なら演奏は可能です」
と説明できれば、お客様の不安は大きく減ります。
しかし、判断できる人がいないために、必要以上に時間とコストがかかっているのが現状です。
修理現場で起きている現実
修理を担ってきた人たちの多くは、長年の経験で技術を身につけてきました。
一方で、その技術や判断力が体系的に引き継がれていないという問題があります。
- 修理が「職人の感覚」に頼りがち
- 見て覚える文化が強く、学ぶ入口が分かりにくい
- 若い世代が入りづらい
結果として、
「修理ができる人はいるが、次の世代が育っていない」
という状況が生まれています。

修理ができないと、何が失われるのか
楽器が使えない=音楽活動が止まる
学校の吹奏楽部や地域の吹奏楽団、各地で行われる音楽イベントは、一本一本の管楽器によって支えられています。もしそのうちの一本が使えなくなれば、パートの人数が足りなくなり、合奏のバランスが崩れ、演奏を続けること自体が難しくなることもあります。
「たった一本」と思われがちな楽器ですが、現場ではその一本が止まることで、練習の質や演奏の機会、そして演奏する人の気持ちにまで影響が広がっていきます。修理できないという理由だけで、音楽活動が静かに止まってしまう現状があります。
失われるのは「音」だけではない
修理ができなくなることで失われるのは、音だけではありません。演奏の機会や仲間と過ごす時間、舞台に立つ経験など、音楽を続ける中で得られる大切な体験が、少しずつ失われていきます。吹奏楽は、代々受け継がれてきた文化です。しかし、楽器が使えなくなれば、その流れは簡単に途切れてしまいます。
そして何より、「音楽は楽しい」「続けたい」と感じるはずだった体験まで失われてしまいます。
修理ができるかどうかは、単なる技術の問題ではなく、音楽の文化をつなぐことに大切なことなのです。

なぜ「リペアマン育成」が
必要なのか
管楽器の修理問題は、出張修理や一時的な支援だけでは解決できません。一人の職人が対応できる数には限界があり、修理依頼が増え続ける現場では、同じ問題が何度も繰り返されてしまいます。
だからこそ必要なのは、楽器を一時的に直すことではなく、管楽器を修理できるリペアマンを育て、地域に根づかせることです。
修理技術と判断力を引き継ぎ、「直せる人」を増やすことこそが、管楽器修理を持続可能にし、音楽文化を守るための根本的な解決策と考えています。
なぜ「楽器王」がこの育成を行うのか
私たちはこれまで、管楽器の修理や買取を通して、学校や吹奏楽団、演奏者の現場と向き合ってきました。修理が本当に必要か、どこまで直すべきか、限られた予算や時間の中でどう判断するか。そうした現場ならではの判断を、日々積み重ねてきた立場です。
その経験から見えてきたのは、地域に管楽器修理を相談できるリペアマンがいるかどうかで、楽器の使われ方や音楽活動は大きく変わるという現実でした。一時的な修理支援や、特別な職人だけでは、現場を長く支え続けることはできません。だから楽器王がこのリペアマン育成プロジェクトで目指しているのは、短期間で完璧な職人を育てることではなく、短い期間で、管楽器修理の基礎を身につけ、現場に立てるリペアマンとして独り立ちできる土台をつくることです。
楽器の構造を理解し、基本的な修理や調整ができること。そして「この修理は必要か」「どう説明すべきか」を判断できること。
そうした力を身につけ、まずは地域で相談を受けられる存在になることを、この育成のゴールとしています。
楽器王がこの育成を行う理由は、現場を知り、管楽器修理の現実を理解したうえで、実務に即したリペアマン育成ができる立場にあるからです。
このプロジェクトが目指す未来

音を直す人が、地域にいる
このプロジェクトが目指しているのは、短期間で完璧な職人を育てることではありません。
6か月という限られた期間の中で、まずは 管楽器修理の基礎を身につけ、現場で対応できる力を養うこと。そして、修了後には
リペアマンとして一歩を踏み出せる状態になることを目標としています。
楽器の状態を見て判断し、必要な修理や調整を行い、困っている現場に対して「まず相談できる存在」になる。
そうした管楽器リペアマンが、少しずつでも地域に増えていくことが、現実的な第一歩だと考えています。




